植物病理学について

 植物病理学とは?

そもそも「植物病理学とは何なのか?」と思う人がいると思います。(自分も最初はどういった学問なのか分かりませんでした。)なので、植物病理学について、簡単に説明します。

植物病理学(Plant Pathology Phytopathology)とは、植物や作物の病気の原因を突き止め、発生や伝染経路を明らかにし、病気が発生する要因あるいは発生しない要因を解明する学問です。平たく言えば、植物の病気について知り、病気にならないように対策方法を考える学問とういことです。

皆さんは生まれてきてこれまでに様々な病気に罹ってきたことかと思います。植物も人間と同様、様々な病気によって枯れてしまったり、弱ってしまうことがあります。そのため、植物が枯れたり弱らないようにするために、植物病理学という学問があるのです。

イネいもち病菌 胞子

 植物の病気とは?

では次に、「植物の病気」の定義・病気の原因・病気になる要因について説明します。

  ①植物の病気の定義

病気とはそもそも、「健康ではない状態」を指します。人の場合「咳が出る」・「熱が出る」・「体がだるくなる」といった状態がこれに該当します。植物の場合では、「根から水分や栄養が吸えない」・「生理や代謝が行えない」・「繁殖できない」ことによって、「根の腐敗」・「葉や茎の壊死」・「萎凋(しおれること)や枯死」といった症状が現れると「病気」と言います。

しかし、中には病気になっているのに、見かけ上異常が現れていない(いわゆる潜伏期など)場合や、マメ科根粒菌のように植物の生育が良くなる場合もあります。そのため、正常・異常の線引きをどこにするのかがとても難しいです。

なので、ここでは植物の病気を「外界からの生物的、非生物的要因や内部のいくつかの要因(ホルモン、遺伝子、植物が出す物質)によって、生理生化学な異常が生じ、その結果可視的な形態異常が起こり、植物の生長や繁殖が阻害される現象」と定義したいと思います。

引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rice_blast.jpg 
  ②植物の病気の原因

病気の原因は一般に「病原」と言われ、下の表のようなものがあります。実際に病気が発生する場合は、様々な要因が関わっていますが、大きく分けると3つの要因「主因」・「誘因」・「素因」があります。

 ➀主因…病原体、つまり病気を発生させる最も直接的な要因のこと

 ②誘因…生育環境など間接的な要因のこと

 ➂素因…植物が持つ病気に罹りやすい性質

 

これら3つの要因は下の図のように示すことができ、「主因」・「誘因」・「素因」が揃った場合に病気は発生します。ただ、病気になるまでに一定の時間が必要な場合もあるため、これらの要因以外に「時間的要素」を加えて表す場合もありますが、今回は省かせていただきます。


 植物の病気を発生させないためには?

ここまで植物病理学、植物の病気について述べてきましたが、「ではどうやって病気を予防すればいいのか?」と考えている方がいると思います。簡潔に言えば、「主因」・「誘因」・「素因」のどれかを除くようにすることです。植物の病気はこれら3つの要因が重なった場合でのみ発生します。そのため、「薬剤で病原体を除去する」・「病気になりにくい環境づくりをする」ことで、簡単に病気を予防することができます。

もし、家庭菜園や園芸をしていて植物が病気になって困っているという方がいれば、上記で示した3つの要因を確認し、対処することをお勧めします。